ロシアは北極海に面した世界最大の面積を有する連邦国家です。在任期間が20 年にわたるプーチン大統領はソ連崩壊後の混乱が続くロシアを立て直し、異例の 長期政権が続いています。ロシアは経済発展が今後期待される「BRICS」と呼ば れる新興4大国の一つで、天然資源に恵まれ、約1億4千万人の人口を擁して います。ロシアで使用されている通貨は「ルーブル」と呼ばれ、初期の通貨が銀 の延べ棒を切ったものであったことから”切り刻む”というロシア語に由来する と言われています。ロシアの国際収支に注目してみると、貿易が多くを占めてい ることが特徴です。なかでも広大な国土から採掘可能な天然資源は主要な輸出品 目で、ロシアの貴重な外貨獲得の手段となっています。
ロシアルーブルはもともと通貨バスケット制を採用していましたが、2014年11 月から変動相場制に移行しました。ルーブルの最大の特徴は原油価格との相関性 の強さにあります。ロシアルーブル円はコロナ禍の政策金利引き下げと原油安を 受けて、2020年11月に1.3円割れの過去最安値まで一時下落しました。ただ、 パンデミックに対する各国の金融政策は世界的にインフレ圧力を高め、原油価格 を押し上げる要因となり、これを受けて足元のロシアルーブル円は戻り基調と なっています。ロシア中銀は政策金利を2019年5月の7.75%から徐々に引き下 げていましたが、今年3月の定例会合で利上げに転じ、5月時点で政策金利を5.0%としています。ナビウリナ中銀総裁はインフレ圧力が高 まっていると指摘しており、中銀の声明文では追加利上げを実施する可能性が示 されています。
FX取引でのロシアルーブルの魅力は1日の変動率が大きいことと、取引する際の必要証拠金が少ないことです。足元のロシアルーブル円は1.5円付近で推移しており、1万通貨当たりの証拠金は約1,500円です。直近ではプーチン大統領の内政安定を維持させる行動が欧米各国の姿勢を硬化させており、要人発言などのヘッドラインにルーブルの為替レートが反応しやすい状況と考えられます。値動きとしては資源国通貨の中でも変動率が大きいほか、スワップポイントも高いため、キャピタルゲインもインカムゲインも狙える通貨と言えるでしょう。